【写真嫌いの神様】
camera

私は、ある町の近くにある山の風景を写真に収めるためにやって来ました。
写真家や登山家の間ではその美しい風景が有名となり、私の耳にも入ってきたというわけです。しかし、気になることが一つありました。

その山の名前は私も何度か聞いたことがあるのですが、実際に写真や映像で見たことはなかったのです。
それなりに有名でしたから、テレビや雑誌で紹介されていてもおかしくないのですが、なぜか一度も見たことがありませんでした。

山の近くの町で1泊してから山に登る予定でした。
旅館の従業員は私を見てカメラマンか何かだと感じたようで
「またカメラマンさんですか。無駄だとは思いますけど、せめて景色を楽しんでいってくださいね」と言いました。


何が無駄になるのかは分かりませんが、景色の美しさは間違いないようで、私は翌日の登山を楽しみにしていました。
翌朝、さっそく登山を開始して、昼前には山頂にたどり着く事ができました。
その山の美しさは予想以上のものでした。

私はしばらくの間、その景色の美しさに酔いしれた後、写真を撮影することにしました。
ある程度の写真を収めたあと、予備として持ってきていたムービー撮影機能のあるデジカメで動画を撮影しました。

予定よりも時間を使ってしまったので、その日は近くの町でもう1泊することにしました。 その夜、パソコンを使って写真や動画を確認しようとして、私は驚きました。

まず、写真は全て真っ黒になっているか、ファイルが破損していて閲覧できないのです。
せっかく撮影したのに、と思いながら予備のカメラで撮影した動画を確認しようとすると、こちらはなんとか閲覧できました。
しかし、画像は乱れおぞましい音のノイズが走っています。
ある程度見終わったところで、動画ファイルも破損して見れなくなってしまいました。

翌朝、従業員に話を聞いてみると
「あの山は人が作った道具を極端に嫌う神様がいて、撮影しようとしても何も残らないのです。テレビ局が撮影に来た時は、何人か死人も出ました」という話でした。

命があっただけ、私は幸運だったのでしょうか。